「光る君へ」第29回 母として 感想文

無病息災

もと大内裏の跡地に今もお店を構えておられる佐々木酒造さんの息子さんが、

天皇の飲み残しをいただくお役を得るなんて(ドラマの中ですが)

なんて引きが強い方なんでしょう。

子供の頃お屠蘇はお正月に呑む日本酒のことと思っていましたが、

大人になってから屠蘇散というものがあることを知りました。

屠蘇散に含まれる生薬をみてみると感冒予防に効きそうな感じ。

時節柄神事として行われるのも合点がゆきます。お上の健康は国家の安寧。

平安時代、この「御薬の儀」は貴族の正月行事でしたが、

江戸時代に庶民に広まったそうです。わたしたちがたしなんでいるお正月のお屠蘇が

平安時代から続いてきたものだなんて、なんとも感慨深いです。

その帰宅のおりにまひろたちの元に立ち寄ったのでしょうか。

なんて平和な親子団らんなんでしょう。

二回目のいないいないばあは吉高由里子氏の無茶ぶりかな。

イケメンのいないいないばあは何度見てもいいですね。

まひろ、ナイスな振りでした!

為時殿、ふたたび無職なり

実資殿の加勢もむなしく、為時再任ならず。

宋人たちの事情がわかるからこそ、無下に帰国させられなかったのだろうと推測。

公明正大な為時殿のお人柄を実資殿はわかっているのだとホッとしましたが、

禄がもらえずばどうやって暮らすのか。まひろの実家に暗雲が立ち込め始めました。

文学性の違い

ききょうさまの来訪。

まひろと一緒のシーンは清少納言というよりききょうさまとお呼びしたくなります。

ききょうの美しい鈍色の袿。喪に服す女性の美しいことよ。

清少納言は、美しい定子の姿だけを人の心に残したい。

キラキラと輝いていた定子さまのこの世のものとも思えぬほど華やかであった後宮を

後の世にまで語り継がれるように書き残しておく。

一方まひろは、一面だけではその人を語り尽くせるものではないと言うのです。

随筆(エッセイ)は日常生活を作者の才覚で切り取ったもの。

これからまひろが書くであろう「光源氏」は小説(フィクション)。

二人の文学性の違いが際立つシーンでした。

これ以降ふたりの共演シーンはあるのでしょうか。

お二人のリラックスした雰囲気が好きです。

なくなったら寂しいなあ。

それぞれの母の想い

あっという間に逝ってしまわれた宣孝殿。

史実では結婚生活は三年あまりとのことですが、

まひろは小さいころからずっと宣孝殿を知っている。

突然の訃報にさぞ動揺したのでは。

北の方の言い分は頭では理解できるけれど、

先週妾の家で倒れた道長を見舞った倫子さまの様子が記憶に新しいので(怖かったー)、

夫の最後の姿を妾に教えないというのは北の方の最後の意地、なのかなと思いました。

色んなところに遊びに行ったけど最後は私のものよ、ぐらいは主張したいかもしれません。

賢子ちゃんの「父上は?」に泣かされました。まひろもやっと素直に泣けたかな。

プンプン百舌彦

せっかくの左大臣様からの申し出を断るとは、為時堅物すぎる!さすが為時!と思いましたが

まひろが見事に看破。

温厚そうな従者百舌彦もさすがに気分を損ねた様子。

以前は為時と同じくらい頑固なまひろでしたが、さすがに愛娘を飢えさせるわけにはいかない。

なんども繰り返されてきた為時の「そうである」が、ここぞとばかり切なく響きました。

土御門家

「貝合わせ」かと思ったら「貝覆い」。

貝覆いとして平安時代に始まった遊びが、

だんだんと貝合わせと呼ばれるようになったそうです。

ただでさえだだっ広い内裏。

独りぼっちで貝覆いをしている娘はあまりに不憫。どうにかしてあげたいと思うのが母心。

娘に準備している心尽くしの道具を、

婿殿が無神経に触ろうとしたらさすがにピリッとるでしょう。

夫婦のすれ違いはこんなところにも波紋を呼ぶのですね。

やはり高松殿(明子)の家で倒れたのが尾を引いているのか。

詮子はまだ若いと思っていたのだけれど最近病のシーンが多いので心配です。

自らの命の限りを知っているのか一言ひとことが遺言のように聞こえる。

自分の父がそうしたように道長に敦康親王を人質にとれと助言。

帝もいつでも親王に会えると道長に簡単に説得される。

わたしが定子だったら継母に我が子は預けて欲しくない。

しかし彰子は敦康親王をとてもかわいがっていたそうですね。

殺伐とした宮中にそんな心温まるエピソードが残っていることに

ホッとします。

呪詛に次ぐ呪詛

そんな詮子さまの40の賀。

道長の北の方と高松殿の代理戦争の宴。あまり盛り込みすぎないで~。

子どもたちの比較は可哀そうに思いますが

小さくてもおいえを代表しているのだから仕方あるまい。

高貴な血筋の母親同士の息子たち。

上手に力を合わせれば道長以上に天下をとれそうだけれど。

ガチバトルでしたね。

巌君いわおぎみの舞いが好評で明子さまはさぞかし溜飲が下がったことでしょう。

勝ち誇った表情が美しかった。

そこに伊周の呪詛が飛んでくるなんて、しかも人違いだし、

せっかくの宴なのに詮子さまが可哀そう。

呪詛ってやるほうも命が縮まりそうなのによくやるなあ…。

なんやかやで復官した伊周が向かったのは一条天皇の御前。

「枕草子」がこのような所以でお上の手に渡ったのかー。

美しく綴じられた本を嬉しそうに胸に抱く一条天皇、久しぶりの笑顔。

ますます定子のことが忘れがたく。

清少納言が魂込めて描いた定子の美しい姿は一条天皇の心の中でますます手の届かない

高次の存在に昇華していくのでしょう。

ものがたりのはじまり

「竹取物語」を読んでとせがむ賢い子と書いて賢子ちゃん。

子役の女の子が可愛くてほっこりします。

子どもが喜ぶものを書き綴るまひろ、母親になったのですね。

予告では公任殿が気になる言葉を発していました。

「面白い物語を描くおなごがおるようだぞ」

また清明が

「あなたさまを照らす光にございます」と。

ぼさっとしている私でもわかる。まひろのことか。

晴明殿が龍神を呼び寄せているということは、都はそうとうひどい干ばつなんですね(「陰陽師」、読了)

安倍晴明がユースケ・サンタマリア氏だとは想像を超えていたけれど、

老齢の清明にこれほどぴったりな人はいないかも。

「光る君へ」も、もう後半戦。

寂しいけれど(まだ早い?)各回を大事に味わって行こうと思います。

今日もお読みくださりありがとうございました😊

またお会いできると嬉しいです。

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